先輩の愛で溶けちゃう -夏休み短編-
その瞬間、昔の太一兄ちゃんに戻ってたんだよね。
無邪気な笑顔を見せてくれた。
「お前、もしかして・・・・・・あのガキか??」
あのガキ。
そうあのガキです。
「俺のうしろくっついてた甘えん坊の弱虫?」
な~んて言ってくれて。
「そうです!!覚えてますか?」
「太一兄ちゃんなんて呼ぶのは、あの子だけだったから」
優しい表情になった。
遠い目をした速水先輩は、太一兄ちゃんに戻っていて、
その視線の先には、幼き私がいるように思えたんだ。