神様修行はじめます!
両手で口を押さえながら、チラッとお母さんを盗み見た。

表情ひとつ、眉ひとつ動いていない。

ほっ・・・。良かった。気にしてないみたい。

聞こえてなかったのかも。相変わらずお人形状態だし。


しっかし、浮世離れした人ねぇ・・・。



「さあ小娘、もう行くぞ」

「待て、絹糸」

渡り廊下にヒョイっとあがって、スタスタ歩き始めた絹糸に狐面が声をかけた。


「・・・なんじゃ?」

「貴様、没落一族の末裔などとつるんで何を画策している?」


まーたコイツはっ!

没落没落うるさいっての!!

ウチに恨みでもあるわけ!?



絹糸は、しっぽをふわりと動かしながら狐面と向き直った。


「天内は、常に先陣を切って戦い、我らを守る盾となってくれた誇り高い一族じゃ」


静かな、厳かな声。


「結果として『神』達の中で最も被害を被った。そのため数が減ってしまったのじゃ」


厳かな声に、力強さが増す。



「その一族を没落などと、己の無知をひけらかす様なものじゃ。口の利き方に気をつけよ」
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