神様修行はじめます!

「控えよ、狐面」


ハッと狐の面が震えた。

一瞬にして全身に漲っていた怒気が消え去る。

そして声の方向に向かって素早く頭を下げた。


完全に逆上していた狐面の感情が、お母さんの声ひとつで全て静まった。



「屋敷内での殺生、わらわが許さぬ」

「も、申し訳ございません!!」

「絹糸も控えよ。よいな?」

「ふん。狐狩りなどに興味はないわ」



門川君のお母さん。

やっぱり凄い。

ここの偉い人なんだから、当然それなりに力は持ってるんだろうけど。


でもそれ以上に、威厳、みたいなのがある。

言葉ひとつに、存在そのものに・・・

強烈なまでの力があるんだ。


門川君にも、おばあ様にも、それはあるけれど。


門川君は、まだふたりには遠く及ばないカンジ。

おばあ様のそれは、たぶん、お母さんとはまったく方向性の違う力。


そんな気がする。
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