神様修行はじめます!
絹糸が前足をペロペロ舐めて顔を洗う。

猫っぽい仕草が、なぜか妙におかしく見える。猫なのに。


「ぜひ教えて欲しいのう」

「・・・・・」

「どうするのじゃ? 華子」

「・・・・・」


ペロペロ、ごしごし。

動く前足の陰で、金色の目が開いた。



「長男の永継(ながつぐ)では、小娘を導く事はできぬぞぉ」



ぴくん・・・・・。




初めて・・・


初めて、無表情が崩れた。


お母さんの眉が、ほんの少しだけ動いた。

今まで何があっても、あれほどまでに無表情を貫いていた人が。


見逃してしまうほどの一瞬。

でも、間違いなく。


動いた。


それを見て絹糸の金の目がニヤリと笑った。

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