神様修行はじめます!
「おばあ様は一番エラいんでしょ!? 鬼ババなんて勝手に追い出せばいいんだ!」

「当主自身が、いらぬ争いの種をまくわけにはいかぬ」

「そんな事言ってる場合じゃない!」


罪も無い子どもの命が、大人のエゴで危険にさらされてるのに!


「ヘタに動けば門川一族が、争いで滅亡するやも知れぬのじゃ」

「なら門川君を犠牲にしてもいいの!?」

「孫と一族を秤にかけたら、迷わず一族をとる」

「・・・・・!」

「それが当主に課せられた責任じゃ。呪い、と言ってもよかろう」


呪い・・・。



「永世とて永久が本当に愛しい。可愛い孫じゃ」

「・・・・・」

「じゃが、当主にそれは許されぬ。祖母である事は許されぬのじゃ」


・・・・・。

本当だ。


おばあちゃんが、自分の孫の命すらも正々堂々と助けられない。

そんなの『呪い』以外のなにものでもない。



「当主になんて・・・ならなくていいよ」


ぽつんって、そんな言葉が口から出た。

あたしはポテンと力無く廊下に座り込む。

がっくりと首を垂らして、ぼんやり地面の敷石を見つめた。
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