神様修行はじめます!
「まあ、最近は君も頑張っているようだから、ご褒美だ」

軽く握った右手を口元に当て、こほんと咳払いをしながら彼が澄まして言った。



「懐かしいのぉ。昔を思い出すわ」

「なにが?」

しみじみしている絹糸に、口をむぐむぐ動かしながら聞く。


「永世も、よくナオに握り飯を作ってやっておった」

「へえぇ、じー様に?」

「ブツブツ文句をいいながらのぉ」

「おばあ様が? 台所に立つ姿など想像できないな」

「料理など一切せんかったからな。当主の第一子として、そんなヒマはなかった」


絹糸は忍び笑いをする。

「じゃから、いつも恐ろしい形の握り飯じゃったよ」


恐ろしい、おにぎり・・・??

なんじゃそりゃ?


「そんなにヒドかったの?」

「ああ。見れたものではなかった。それでも・・・」

「それでも?」

「ナオは、それはうまそうに食っておったよ。幸せそうな顔でな」
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