神様修行はじめます!
「おい、お前」

ぐすぐすと鼻をすすっているあたしに、狐面が冷静な声で話しかける。


「鼻水を落とすなよ」

「あんたって、とことんサイテー!」

「家宝にお前の鼻水が混じりでもしたら大問題だ」

「うるさいっ!」

「お前と祖父との思い出になど興味はない。早く本題に入れ」


わかってるよ!!


あたしは再び精神集中した。

過去を・・・

見せて。じー様の過去を。


水面が揺れ、さざ波立つ。

それが静まり、次々と過去が見えてくる。



あたしの高校の入学式。

一張羅のスーツ姿で緊張した顔のじー様。


中学の運動会。

飛び上がって応援してくれてるじー様。


小学校の参観日。

手を振るあたしに笑顔で応えるじー様。



じー様。じー様。

みんなみんな覚えてる。

あたしとじー様との大切な思い出。

じーさまぁ・・・。
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