神様修行はじめます!
あれはまぎれも無い事実だ。

分かる。

自分の中の血によって、はっきりと確信できてしまう。


逃げ道を探しても無駄。

事実は事実。変わらない変えられない。

それに・・・


彼に知らせる事はできない。



自分の祖母のあんな過去を知りたい人間がいる?

知って、苦しまない人間がいる?


そしてあたしに対して、今後、まったく平静でいられる?

こんな因縁で送り込まれてきたあたしに対して。

そして、おばあ様に対して。

悩まずにいられる?


常に命の危険にさらされている彼。

その彼にとって、おばあ様やあたし達との居場所だけが、たったひとつの心の支え。


それを奪っちゃだめだよ。彼は耐えられない。

これ以上彼を苦しめられない。

ただでさえ大変な立場の彼に、これ以上負担をかけたら本当に潰されてしまう。



守らなきゃ。

せめて彼を守らなきゃ。

きっと守ってみせるって、あたし自分で自分に誓ったんだから。
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