神様修行はじめます!
うなり声みたいな泣き声を上げながら、あたしはヨロリと立ち上がった。

いつまでもこうしていられない。

早く行かなきゃ。

ここから出て行かなきゃ。


涙でかすんで、視界がよく見えない。

何度も転びそうになりながら歩いた。



庭園の出口らしい方向に向かって歩いていると、大きな大きな正門が見えた。

いかにも頑丈そうな、荘厳な大扉がしっかりと閉まっている。


扉の両脇に、こま犬が二匹座っていた。

神社でよく見るあのこま犬だ。

淡い灰色の、生きているこま犬がピクリとも動かずに座っている。



「ねぇ、こま犬さん達」

「・・・・・」

「あたしを通して」

「「用のない者は通させぬ」」


二匹そろって、同じ声で同じタイミングで声を出す。

出す、というか周囲の空気が鳴ってる感じだ。


「お願い、通して」

「「用のない者は通させぬ」」


あたしの願いに同じ言葉を二匹で繰り返すだけ。
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