神様修行はじめます!
彼は、もうあたしを見てはいなかった。

さっさとしま子に視線を移して様子を確認している。

白い輝きに照らされたその頬は・・・


ほんのり、赤く染まっていた。



彼はいつもそう。

冷静で無表情。冷たくて毒舌。

そして・・・


相手を思いやる時ほど、その冷たさに磨きがかかる。


自分の優しい心がむき出しになるのを、恐れるかのように。

冷たい氷で、綺麗な花を包み込んでしまうように。



でも、あなたのお花は生きている。

透き通るクリスタルのような氷の中で。

優しく優しく息づいている。


あたしは、それを知っている。



抱きしめたいと思う。

氷ごと、あなたのお花をこの両腕で。


大丈夫。どんなに冷たくても平気よ。

あたしは熱い女だから。


滅火の、天内の末裔だもの。


氷ごときで、ひるむもんですか。

< 372 / 495 >

この作品をシェア

pagetop