神様修行はじめます!
広い座敷に、ぽつんと座る永世。

が、ほとんど時を置かずに永世も静かに立ち上がる。

そして歩き出した。


しっかりした足取りは屋敷の外まで続く。

緑の濃い、見事な庭園からも離れていった。


永世の足取りは、裏山の坂道を登っていく。

足場の悪い道をひたすら登っていく。



立ち並ぶ大木の中、ひときわ見事な巨木がそびえていた。

しめ縄がかかり、水や酒が供えられている。



その巨木の前で永世の足は止まった。

そのまま地べたに正座をし、深く深く一礼する。


『英霊様・・・・・』


永世は、そのまま心の中で語りかける。


『神代の時より続く、英霊さま方に申し上げ奉ります。

当代当主、門川 永世にございます。

このたび・・・』


永世は、さらに心の中で深く頭を下げる。



『この命と引き換えに、ただの祖母に戻らせていただきます』



頭をあげ、巨木を見上げる。

曇りひとつない、迷いのない目で。


その顔はどこか晴れやかだった。


望む事ができる。

成す事ができる。

今、やっと・・・・・。


そんな表情だった。

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