神様修行はじめます!
彼の唇が動き、言霊を紡ぐ。


『この者の、記憶と言う名の砂の城よ』


あたしの、記憶?


『波にさらわれ、海の底へ眠るがいい。

足元から崩れ、跡形の一片すらも残さずに』



一片の記憶すらも残さず?

・・・門川君っ!?

ちょっと! どういう事よ!


あたしは暴れた。

彼の腕から逃れようと、もがいた。

でも彼はあたしをしっかりと抱きかかえて離さない。


「絹糸! しま子!」


あたしはふたりに助けを求めた。

絹糸もしま子も、黙ってあたしを見ているだけだった。
< 471 / 495 >

この作品をシェア

pagetop