GOLDMOON~美しき獣の赤い糸の花嫁~
「…これを見て少しは勉強しておいてくれ」

ケルブはマントの中から古めかしい書物を出して来た。


「この書物には色んな詠唱と唱えると現れる魔法陣のコトが記されている…所々挟んであるメモは俺が日本語に直したモノだ。俺も天使文字が読めなくて苦労した…」


「サンキュー」
俺は喜んで受け取った。


「俺が居なくなればお前が天使界のトップだ。トップが何も知らないのでは困る」


「縁起でもない」


「…敵は神様だ。勝っても無傷では要られない」




「セラフは何故?力がないんだ?」



「…俺は人に捕まった見習い天使の救出に下界に降りた。見習い天使の身代わりに人質となったんだ。人質になった俺は男に身体を穢された。俺はショックで自らの命を絶ってしまった。それを知ったセラフが魔の力を使い、その国の者たちを全て消し去ったんだ。俺の仇を討つ為にセラフは殺戮を行い堕天使の烙印を押され、天界を追放された」



「そうだったのか…俺は同じ上級天使なのに…二人のコトは何も知らない」




「知らなくていい…だから、本来…俺が天使界のトップにいてはいけないんだ」
< 194 / 264 >

この作品をシェア

pagetop