GOLDMOON~美しき獣の赤い糸の花嫁~
PART3*お嬢様の裏の顔

~栞side~

「ただいま…」



邸宅に帰宅すると綺麗に着飾った母親が急ぎ足で玄関に出て来た。



「…お帰り…今日は帰って来たのね…」


未成年の娘が外泊しても…咎めない親だった。



父は大手ゼネコン『桐生建設』の常務。
母は専業主婦だけど、夜毎に歌舞伎町に足を向け、お目当てのホストに大金をつぎ込んでいた。




「帰ってくるならキチンと連絡くれないと…あなたの夕食…ないわよ。栞」



「いらない…外で食べてきたから」



「なら、いいわ~っ」


母は甘い華の香水の匂いを漂わせて出て行った。


「…」


私は母の香水の残り香に胸やけがした。
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