GOLDMOON~美しき獣の赤い糸の花嫁~
* * *


捺もまた、表立っての付き合いは避けていた。


俺たちの商談場所はいつも、キャバクラ『プリンセス』のVIPルーム。


捺は客でありながら、裏口から店の中に入ってくる。


念には念を…用心深い男だった。



「…ありがとう~尭耶さん」


「いえ・・・これからも何かあれば俺に相談して下さい」


「…そうだな」


捺は封筒の中の書類を確認して隣に座っていた秘書に渡す。



彼の秘書は本名は哲也…でも彼は哲子の名乗って女装していた。



「…でも、本当…尭耶さんっていい男ね…ホスト時代の尭耶さんに会いたかった…><」


哲子さんは俺を気に入ってるらしい。



昔から男に好かれるのには慣れてる俺。


でも、恋愛対象として見たコトはない。


母親に邪険にされ、妻に裏切られようが…男には走りたくない!


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