君の隣で夢みた未来
「いいじゃん。私の事なんて」



彼女は少し寂しそうに笑って、ウインカーを出し大通りから細い路地へと入った。


この道はどこへ向かうのか、俺はなんとなく予想がついた。



「コンビニ寄ろう?」


「…うん」



すぐ先にコンビニがあるのをお互い知ってたから、車を駐車場に留めて二人で明るい入り口へと吸い込まれるように店内へ入る。



「ガムでしょー?コーヒーでしょー?」



棚から無邪気に商品を取る美咲さん。


この人は見てて飽きない。


こんなにも色々な表情を見せる人、俺は彼女以外知らない。



「けーすけは?なに欲しい?」


「自分で買うからいいよ」


「いいよ、今日はお姉さんがご馳走してあげますよ」



彼女は俺の手にあった紙パックのカフェオレをひょいと取った。


いつも、こうだ。


俺がガキなのかわからないけど、『今日は俺が出そう』と思っても彼女のペースに乗せられてしまう。


女に金払わせるとか…。


カッコ悪い気がしてならない。



「つんちゃん、今日は俺が出すよ」


「いや。ダメ」


「何で」


「だって、煙草買いたいんだもん」



そういうことか。


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