君の隣で夢みた未来
その山には小さな広場があった。


車を広場の近くに留めて、俺らは広場の中にコンビニの袋を持ち夜景が綺麗に見えるところに設置されているベンチへと向かった。


街の灯りがキラキラとしていた。


懐かしい。


そう思わせるのは、きっと隣の美咲さんが制服を着ていないから。


無言でそこに腰を下ろし、俺はカフェオレを取り出しストローを射し、彼女は愛らしいシガレットケースから煙草を取り出しキラキラとしたライターを取り出した。


桜色の唇で咥える煙草。


少しの違和感を覚えたけれど、だけど、その姿はとても画になっていた。




「久し振りだね」



煙をふぅっと吐き出し、呟くように言った。


彼女は視線を俺の方に向けて、こう続けた。



「最近、どう?なんかあった?」


「……」



なんかあった?


何もない。


何もない。



「…何もないよ」



搾り出すように答える俺に、彼女は「うそつき」と言葉を溢した。



「進路?」



どうしてこの人は真っ直ぐと確信をついてくるんだろう。


どうしてバレてしまうのだろう。


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