君の隣で夢みた未来
その後の彼女は少し無理をしているようだったけど、何事もなかったかのように笑って見せた。


どこか晴れやかだった。


彼女は缶コーヒーを、俺はカフェオレをそれぞれ口に含み飲み込む。


シガレットケースの中に入っているリップクリームを取り出し、それを唇にのせる。


自然な艶が大人っぽく感じた。



「今日、学校行ってよかったかも」



突然彼女が言葉を溢した。



「どうして?」


「ピアノ触れたし。けーすけ居るし。顔、見れたし」



彼女は思いをストレートに吐き出す。


大事なものを大事ときちんと言う。


好きなものは好き。


嫌いなものは嫌い。


気を使いながらも小さな本音は落としていく。



「…けーすけが居てくれて良かった。ありがとう」



そして、目を細めて微笑む。


綺麗だった。


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