君の隣で夢みた未来
「居るよ。俺は」



この言葉に深い意味なんてない。


そのままの意味。



「そうだね。私も居るしね」


「だろ?」


「私はいつだってけーすけを笑わせてあげるよ」


「じゃ俺はつんちゃんの泣き場所になってあげるよ。仕方ないから」


「仕方ないって何よ。ムカつくー!」



笑い合う俺たち。


知らない人が聞いたらカップルの会話だと思われるだろう。


違う。


そんな簡単な関係じゃない。


いや。


もしかしたら一番簡単なのかも。


ある時は姉のように優しく、ある時は母のように叱ってくれる彼女。


彼女にとって俺は羽を休める場所であって欲しい。


そう思う。



「つぐみ…」


「なぁに?」


「なんでもない」


「…何それ」



俺は確かめるように彼女の手を握る。


彼女も俺の存在を確かめるように握り返してくれる。



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