君の隣で夢みた未来
果汁100%のリンゴジュース。


それにあたしは付属のストローを指してチュルチュルと吸いながら歩いた。


そんな時に後ろからぽんと肩を叩かれた。



「ちびちゃん」



今朝初めて呼ばれた呼び方。


聞きなれないけど、この呼び方をするのはただ一人。



「先輩…」


「歩きながら飲んでると怒られるよ」



そういう先輩だって片手にはプルタブのあいた缶コーヒーを手にしていた。



「1時間目なんだった?」


「数学です…」


「いいなぁ~…数学」


「…好きなんですか?」



数学好きなんだ。


あたしには理解が出来なかった。


それが顔に出ていたんだろう。


先輩があたしの表情を見て大きく笑った。



「すきだよ。数学。英語とか国語の方が俺は苦手」



へぇ~…。


そうなんだ。



「じゃ、頑張れよ。1年生」



先輩はそう言ってあたしを通り抜かして、颯爽と姿を消した。


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