君の隣で夢みた未来
一人暮らしをするようになってから自由に煙草を吸えるようになったのは嬉しいけれど、部屋にヤニが付くのは阻止したかった。


ほら、引っ越すときに色々面倒だって話を聞いたから。


煙草に火をつけて、すーっと息を吸い、吐く。


たったこれだけなのに気分が落ち着くのはなんでだろう?


なんだか不思議だ。


私は煙草を持っていない左手で携帯を操作する。


圭介からのメールの返事は返してない。


お互いに気が向いたときに返事をして、途切れるときは簡単に途切れる。


人の繋がりみたい。


私は、昨日、自分との想いに決別したはずだった。


圭介の目の前で純のメモリを消した。


だけど、たくさんの思い出が詰まったフォルダは消す勇気がなかった。


他愛ないメール、一緒に撮ったプリクラ、遊園地でのパレードの写真。


2年の思い出を簡単に捨てられるほど、私は強い女なんかじゃなかった。


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