君の隣で夢みた未来
たった一人のベランダ。


泣こうと思えばいつだって泣ける。


だけど、私は泣きたくはなかった。


一人で泣いたって虚しいだけだ。


私は吸殻をベランダの灰皿に捨てて、部屋に戻り、身支度を整えた。


化粧を施し、髪はヘアアイロンで真っ直ぐに伸ばす。


そして、ハンガーにかかっているワンピースとカーディガンに腕を通して、シルバーの華奢なネックレスと腕時計をつけて部屋を出た。


戸締りは完璧。


鍵もきちんと。


そして、パンプスのヒールを鳴らしながらエントランスを出ていく。


さぁ、


今日も一日が始まる。


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