君の隣で夢みた未来
翔は別なところに席を取ってるようだったけど、私の隣に腰を下ろした。



「美咲つぐみさんは、こういう空き時間を利用してレポートなさってるんですかぁ」



彼はわざとよそよそしく言ってきた。



「どっかの誰かさんとは違うのでね。溜め込めないんですよぉ~」



私も似たような口調で返す。


私は、さっきの授業中の会話を思い出した。




「そういえば、別れてたんだって?彼女と」


「あー…」


「超ラブラブだったじゃん」


「そうか?普通だよ」


「へぇ~…」



図書室だからか、会話がなくなると私のタイピング音がやけに響いているように感じた。



「あと、うちら付き合ってるの?って聞かれた」


「はぁ?」


「そうなるよね」



翔は「はぁ~」と深いため息をついた。


彼は全然悪くないのに私に謝ってきた。



「ごめんな」



って。



「翔ちゃんが謝ることじゃないでしょ。仲がいいからって勝手に勘違いしてるし。うちらは成立してるよね?」


「成立?」


「男女の友情」


「あぁ…してるな。うん。してる」



彼の反応を聞いて少し安心した。


恋人と別れることより、男友達が居なくなることの方が私は怖かった。


だって、


ぽっかり空いてしまった心は友達とかで癒すしかないでしょう?



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