君の隣で夢みた未来
夜の仕事は収入面ではいいかもしれないけど、安定はしない。


うちの店は珍しくノルマがない。


その分、女の子が連絡もなしに辞めたりとか言うのが多い。


私は変に真面目らしく遅刻も欠勤もしたことがない。


だからなのか店長はよくしてくれる。



私は更衣室へ行き自分のロッカーを開ける。


そこには自分で買ったドレスやキラキラとしたヒールの高い靴がしまってあった。


収入が多い分、その分出費も激しい。


荷物をしまってから、私は再び店長たちがいるホールへ戻った。


更衣室は禁煙なのだ。



カウンターの背の高い椅子に腰を掛けて、手に持っている煙草を出す。


それと同時にそこでグラスなどを拭いているボーイがガラス製の灰皿を出してくれた。


私は軽く会釈をして煙草にシュッと火をつけた。



そんな時、ソファに座っていた店長が「あー!」と声を上げた。


どうやら何かあったらしい。


店長の隣に座っていた凛さんが私の隣に移動してきた。



「…何かあったんですか?」


「女の子が飛んだんだって」


「連絡取れなくなっちゃったんですか?」


「…ぽいよ」



凛さんも深いため息をつく。



「だから、今日女の子足りるかわからないっぽい」


「へぇ~…」


「多少忙しくなると思うけど、頑張ろうね」



凛さんの大きな瞳が弓なりになる。


その時、またカランカランとカウベルが鳴る。


ヘアメイクのお兄さんが出勤してきた。


そろそろ今日出勤の女の子が集まるころだ。



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