君の隣で夢みた未来
教室は冷房のお陰でひんやりしていたのだろう。


廊下に出ると少しだけ熱い空気が肌にまとわり付く気がした。


あたしの足は購買に向かう。


どの飲み物を飲もうか…?


そんな事を考える一方で、淡い期待が胸に広がる。



―先輩、居ないかな?



あたしと先輩は最近、よく購買へと向かう廊下で顔を合わす事が増えていた。


辺りをきょろきょろしている時にあたしの頭の後ろのほうから、声が聞こえた。


その声は一つではなかったけど、確かに聞こえた。


あたしはその声の方へと振り返った。



居た。


先輩。



先輩は2人の男の先輩と笑いながら歩いていた。


一人だったら、声をかけようかと思ったけど…


勇気のないあたしはくるりと元の方向に向き直った。



その時、


ぽんと肩を叩かれると同時に声が降って来た気がした。



「ちびちゃん。元気?」


「…はい!」


「そっか。なら良かった!午後も頑張れよ」



そう言って先輩はヒラヒラと手を振って去った。


あたしも、それに応えヒラヒラと遠慮がちに手を振った。


たったこれだけの会話だけど、なんだか胸の奥がドキドキいってる。



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