君の隣で夢みた未来
あたしはドキドキを抑えるかのように深く深呼吸をした。


まだ先輩がおいた右肩が熱く感じる。


なんだろ…?


これ…―。



あたしはそんな事を考えながら購買へ行き、紙パックのレモンティーを買った。


レモンティーにストローを射し、ちゅるちゅると吸い込みながら教室へと戻った。


教室の扉を開けると、ひんやりとした空気があたしの体を包んだ。



「実子、遅かったね」


「購買、混んでてさー」



そんな他愛のない話に混ざり合った。


高校1年の夏、気が付けば友達には恋人が出来ていて、その話をあたしはレモンティーを吸い込みながら話を聞いていた。



「実子は?」


「え?」


「好きな人とか居ないの?」


「…すきなひと?」



友達の視線が一気にあたしに集中した。


好きな人…?



「…いないよ」



あたしのこの言葉にわかりやすく落胆するのがよくわかった。


憧れの人は居ても、それは【好き】とはなんとなく違う気がした。


さっきのドキドキもきっと【憧れ】のドキドキだと思う。



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