君の隣で夢みた未来
『駅から結構離れちゃった?』



携帯から聞こえる柔らかい声。


美咲さんの声は高すぎず低すぎない。


だけど、歌うように清らかに喋る。


そのメロディーのような口調が好きだったりする。



「あ、いや。そんなに離れてない」


『じゃ、ちょっと待ってて今から行くから』


「え?」


『え?ダメ?』


「ていうか、いいの?」



俺が少し驚いていると彼女は携帯の向こう側で笑っていた。


そして、笑いながらこう言うんだ。



『何が?いいよ別に。暇だし』


「じゃあ、待ってる。駅前のカフェに居る」


『えー?あそこ?あそこ全席禁煙じゃん。まぁ、いいや。そこで待ってて』



そう言って彼女は電話を切り、俺はくるりと向き直り駅の方へと向かう。


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