君の隣で夢みた未来
「ねぇ、なんで今日昼間電話くれたの?」



運転しながら不思議そうに尋ねてくる美咲さん。



「えー?メールしたじゃん。何でもないよって」


「単なる暇電?ちょー迷惑!」



けたけた笑う彼女。


釣られて笑う俺。



「あ、今日ちびちゃんと一緒に図書室で勉強した」


「…ちびちゃん?」


「ほら、あの合唱部のちっこい…」


「あぁ、実子ちゃん!」


「そう」


「…いつのまにそんなに仲良しになってんのさ」



ワザとらしく膨れる彼女。


俺はちびちゃんと一緒に勉強するに至った経緯を話した。



「けーすけが数学をねぇ~…ちゃんと教えられるの?」


「数学だけは得意なんですぅ~」


「…わけわかんない。数学なんてこの世から消えちゃってもいいじゃん。四則さえできれば生活になんの不自由もしないじゃん」



美咲さんも数学だけはほぼ赤点だったって話を前に聞いたことがある。


その話を聞いたとき、正直俺は驚いたのを覚えてる。


すごくパンチの効いた話だと思った。



「でもさー、四則だけだったらこの世にパソコンとか便利なものなくない?」


「例えばー?」


「エクセル?」


「そりゃ大変だ。パソコンなかったら私レポート書けないや」


「でしょ?」



俺のドヤ顔が決まったところで信号が赤になり、車は停車する。


美咲さんは俺の表情が少しムカついたらしく、笑いながら俺の頬をつねってくる。


だけど、全然痛くない。


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