君の隣で夢みた未来
図書室に先輩が来る日もあれば、来ない日もあった。


どちらかと言えば来ない日の方が多いくらい。


だからか、図書室で先輩に声をかけられると凄く嬉しくて口の端っこが緩んでしまいそうになる。


それを耐えるのが一苦労だった。



「お、ちびちゃん。」



今日も先輩は来ないのかと少し落胆していた時に、その声はあたしの耳に届いた。



「…先輩!」



声が少し大きかったのか、あたしは周りの人たちに小さく睨まれる。


先輩はその光景を見て少し笑う。



「頑張ってる?」


「はい」


「少しは数学好きになった?」



その問いかけにあたしは少し首を傾げたけれど、前よりは授業が分かるようになっていた。


先輩はあたしのノートと数学の問題集を手に取り眺めていた。



「…できてるじゃん」



先輩はそう言って、笑顔をくれた。


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