君の隣で夢みた未来
先輩はあたしの隣の隣に座り参考書とか色々なものを机に出す。


あたしは一つ空いた椅子の距離がなんだか寂しかった。


そっか、理由がないと隣には座ってくれないんだ。


少しだけ胸が締め付けられた。


こんなに小さなことなのに、どうしてあたしはイチイチ落胆するんだろう?


初めて図書室で教えてもらった日、先輩は私の手が止まると隣に来て優しく教えてくれた。


たぶん、あれは先生と約束したからだよね?


先輩には先輩の勉強もあるから仕方ないよね?


だけど、


理由なんて自分で作ればいい。


先輩の邪魔になるかもしれない覚悟であたしは勇気を振り絞って先輩の隣に座った。



「…先輩。ここ教えてもらってもいいですか?」



これが今のあたしには精一杯だった。



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