君の隣で夢みた未来
「…から、xは…ちびちゃん?」



あたしはハッとした。


なにやってるんだ。


せっかく先輩が教えてくれてるのに。


集中しなきゃ。



「聞いてた?」



先輩は心配そうにあたしの顔を覗き込んでくる。


今までで一番近い距離。


あたしは思わず体を机から離してしまった。


…びっくりした。


先輩は少し困ったような顔をして尋ねてくる。



「わかりにくかった?」



あたしは必死に首を振った。


先輩が悪いんじゃない。


自分から先輩の勉強の邪魔したくせに。


それでも先輩は同じ問題の解説を、もう一回してくれた。


今度こそは見惚れてしまわないように注意をしながら。


< 218 / 496 >

この作品をシェア

pagetop