君の隣で夢みた未来
「圭介、俺が言いたいのはだな。ある程度の距離を保っておけってこと」



こいつは何を言ってるんだ?


距離?


ちびちゃんと俺の距離は、そんなに変わってないだろう。


少なくとも俺からの距離は変えてるつもりはない。



「…美咲さんみたいな関係の女なんて稀だぞ?あの近すぎる距離で恋愛にならないのが不思議なくらいだと思うぞ?」


「うるせーなぁ…」


「まぁ、別な所で≪大事な人≫って言うのは居てもいいと思うけど、それを理解してくれる女はまずいない」


「……。」



なんだよ。


偉そうに。


ちびちゃんの気持ちだって、憶測にすぎないじゃないか。


そうなった時に考えればいいことだろ?



「お前、五月蝿い」



俺はそう言って、目の前にあるペンケースをそいつの口に入れた。


こうでもしなきゃ、こいつが黙らない気がして。


その様子を見ていた数人の女子はくすくすと笑っていた。



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