君の隣で夢みた未来
『後輩』≪side T≫
…久し振りだな。


2年前に卒業した高校に私は久し振りに足を踏み入れた。


今日は特別用事はなかったけれど、久し振りに癒されたかった。


大好きな音楽室に。


アポなしで母校を訪れるのは失礼だと思ったからお世話になった部活の顧問に、今日訪れることを伝えた。



私は車を教員用の駐車場に留めて、来客者用の玄関へ向かった。


2年前までは生徒用の入り口から入れたのに…


この些細な事が、時間の経過を知らせていた。



たくさんの緑に囲まれた母校。


当時は虫がたくさんだとか、校舎が古いだとか、制服がダサいとか全ての事に文句を言っていたようだった。


今考えてみたら、とても小さなことだった。


子供だったのだ。



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