君の隣で夢みた未来
気が付けば太陽は傾き、下校時間をあっという間に過ぎていた。


夏と言えども太陽が沈んでしまえば、外は暗い。


なんで通学路と呼ばれるところはこんなに怖いんだろう。


臆病なあたしは、いつもと違う表情の下駄箱にすら恐怖を抱く。



「一緒に帰る?」



反対側の下駄箱に居た先輩が声をかけてくれた。


その言葉にあたしの心は飽きずに跳ね上がる。


あたしは「はい」と元気よく答えて、さっきまで怖かったはずの昇降口を出て家路につく。


たらたらと話しながら歩き、あたしは少しでも長く先輩といたくてわざといつもより遅く歩く。


先輩も自然にスピードを落として歩いてくれる。



「…どうした?」



通学路には途中小さなお寺がある。


街灯も少ないそこは隣に先輩が居ても怖いものは怖かった。



「いえ?何でもないです」



あたしは子供っぽく見られたくなくて、少し強がって見せた。


だけど、やっぱり嘘はつけないみたい。



「怖いの?」



と呆気なく先輩にバレていた。


先輩は声を出して笑っていた。



「笑い事じゃないですよ…あたしダメなんですお化けとかの…」


「へぇ~…」


「先輩は怖くないんですか?」


「全然。俺、自分の目には見えないもの信じないもん」



先輩は、まるで『目に見えるものすべてが真実』と言わんばかりの真っ直ぐな視線で小さなあたしを見下ろす。


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