君の隣で夢みた未来
外の階段をタンタンタンと上がり、来客用の小さな曇りガラスの扉を軽く叩いた。


腰を少しかがめて、その扉が開くのを心待ちにした。



「はい」


「こんにちは。お久しぶりです」



事務的に扉を開けたのはかつての担任だった。


彼は小さく驚き、その後に見覚えのある笑顔を見せてくれた。



「おぉ、美咲。久し振りだったな。中、入っていいぞ」


「え?記帳しなくて平気ですか?」


「いいよ。顔パス」



私が卒業してから、少し昇格したのだろうか?


彼は曇りガラスの扉を閉め、来客用のスリッパを用意してくれた。



「卒業以来か?」



私が靴を揃えてる時に懐かしそうに言葉を溢した。



「うん。卒業以来」


「‘うん’じゃなくて‘はい’だろ」



きっと私は『一生生徒』で担任は『一生担任』なのだろう。


卒業したといえども教え子だし、目の前に居る担任は担任のまま。


少し目尻に、あの日になかった細かく刻まれたものがあった。


2年はあっという間なようで、確かに平等に時間は過ぎていた。


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