君の隣で夢みた未来
花火大会も終わり、先輩と美咲さんとあたしは3人で手を繋いで歩いていた。


コツコツとなる美咲さんのヒールの音とカランコロンと鳴るあたしの下駄の音。


美咲さんと先輩は仲良く笑いあいながら話をしている。


あたしも口だけは笑っているけど、正直話には入れなかった。



「…ってどこ?」


「ちびちゃん?」



どうやら美咲さんがあたしに話しかけてくれていたらしい。


質問の内容が耳に入ってこなかった。


先輩があたしを呼んでくれてやっと気づいた。



「すいません…」


「実子って住んでるところどこ?」


「今は…」



あたしは美咲さんを通して先輩に語りかけるように言った。


今、住んでるところと、夏休み中に引っ越すこと。


今居るところがあたしの新しい地元になること。


そしたら先輩はこんなことを言い出した。



「え。じゃあ最寄が俺と一緒になるんだね」


「本当だー!でもさ、けーすけの家とはまたちょっと違う方向じゃない?」



先輩と美咲さんは笑顔で言っていた。


先輩と美咲さん楽しそう。


あたしも笑わなきゃ。


精一杯の笑顔してるけど、きっとどこか不自然だと思う。



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