君の隣で夢みた未来
私たちはあてもなく歩いた。


今日は車は置いてきた。


だから、少しざわつく通りを抜けて海岸まで歩いた。



「ねぇ、けーすけ?」


「ん?」



私は何となく勘付いたことを圭介にぶつけてみた。



「…実子ってさ」


「ちびちゃん?」


「うん」



何故か緊張してしまう。


何故か心臓が速くなる。


なんで?


でも、聞かずにはいられなかった。



「もしかして、けーすけの事好きなのかな?」


「はぁ?」


「なんとなく。最近のけーすけの話とか聞いてたり、今日の実子見てて思っただけ」



海岸近くの階段に腰を掛ける私たち。


私は圭介の手を解き、右手で煙草を1本取り出し、左手で風をよけて火をつけた。



「…ないでしょ」



吐き捨てるように言う圭介。



「言い切れるの?」


「……」


「…違うにしても、時間の問題だと思うな」



煙を吐きながら呟く私に圭介の表情は少し苛ついているようにも見えた。



< 348 / 496 >

この作品をシェア

pagetop