君の隣で夢みた未来
だけど、あの頃の俺は何も言えなくて、ただこの手が解けることの無いように握っていた。


なかったことにすれば、元通りになる。


そうすれば…


彼女の隣に居られる。



そう思っていたんだ。



だけど、


俺は忘れたことなんてなかったよ。


あの日のこと。



だって、


初めてだったんだよ。



唇に誰かの温もりが伝わることが。



だから、俺は彼女の希望通り忘れたフリをすることにした。


夏休み明けに顔を合わせたときは普通の先輩・後輩になっていたんだ。



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