君の隣で夢みた未来
時間を気にしながら携帯をパカパカと開いたり閉じたりを繰り返しているうちに、少し離れたところからあたしの待ち望んでいた声が聞こえた。



「ちびちゃーん」



先輩が手を振りながら小走りしてくる。


先輩の私服を見るのは2回目。


制服じゃない先輩はとてもシンプルで気取ってなくて素の先輩を見れている気がする。


それがなんだか凄く嬉しい。



「待った?」


「今、ついたばっかりです」



このやり取りがなんだかデートみたいでくすぐったい。


ドラマとか見ながら『そんなやり取りするわけないじゃん』と思っていたけど、いざ好きな人を待ってしまうと自然と出てしまう言葉なんだと実感した。


だけど、先輩は困ったように笑っていた。



「…ちびちゃん、嘘つかなくていいよ?」



どうして先輩がこんなことを言うんだろう?と思っていた時、先輩はあたしの腕を指さしてこう言った。



「腕、真っ赤だよ?日陰のあるところで待ち合わせすればよかったね」



そう言うと先輩はぽつりと「ごめんね?」と言い、図書館の入口へと歩いていく。


あたしもそれについていく。



< 369 / 496 >

この作品をシェア

pagetop