君の隣で夢みた未来
図書館は冷房が効いていて入口の扉が開いた瞬間にひんやりとした空気があたしに絡みつく。


この図書館があることも知っていたし設備も凄いと言う事は前々から耳にしていた。


けれど、先輩の背中を追って学習スペースみたいなところが学校とは比べ物にならないほど広く、そしてピカピカしていた。


本を読む人、調べ物をする人、パソコンで作業する人、たくさんの参考書を開き勉強する人…


たくさんの人がそこを利用していた。


あたしたちはその中でも奥の端っこの窓際の席に座った。



先輩はカバンから自分の参考書や筆記用具などを取り出し、あたしもそれにつられて自分の勉強に必要なものを取り出した。


今日、本来の目的を忘れるところだった。



先輩は声を潜め、少しだけ顔を近づけてあたしに話しかける。



「どこ?わからないところって…」



当たり前のことなんだけど、先輩の潜めた声が、距離がとてもドキドキする。


二人で内緒話をしているみたいでドキドキした。



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