君の隣で夢みた未来
理由は‘家庭の事情’って事になってる。


簡単に言えば学費が高すぎた。


小さい頃からピアノのレッスンに通わせてもらって、音楽の勉強もさせてもらえてた。


音楽大学に行くんだと当たり前のように思っていた。


高校2年になった夏休み、その夢が砕かれた。


両親に「特待生で合格するなら音大でもいい」と告げられた。


音大なんて英才教育を受けている子が大半だ、その中で特待生?


無理だと思った。


その頃ぐらいからだった、私が職員室に呼び出される回数が増えたのは。



「今は充実してるの?」



校長先生が尋ねてきた。


私は笑顔でコクリと頷いた。


そんな時だった。


私のバッグの中から何かが振動する音が聞こえた。


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