君の隣で夢みた未来
あたしがしばらく数式と格闘している時に隣に居る先輩を盗み見た。


きっと家でも勉強をしているのだろう。


右手中指が真っ赤になっていて、ペンだこが痛々しかった。


そんな時、途中先輩の手が止まっていた。


何かを調べるわけでもなく…


こくりこくりと舟をこいでいた。


疲れてるんだなぁ。


あたしは先輩に声をかけるのは止めて、自分の課題に集中した。


少し寝かせてあげようと思った。


今日だってあたしが無理を言ってしまったからだし。



こくん…


こくん…



何回か首を上下して、先輩は腕を枕に突っ伏して寝てしまった。


あたしの方に顔を向けて寝る先輩。


先輩の寝顔、美咲さんだって見たことないよね?


それだけで、なんだか美咲さんに勝った気がする。


先輩の寝顔見たことあるの、あたしが初めて…かな?


そうだといいな。



< 383 / 496 >

この作品をシェア

pagetop