君の隣で夢みた未来
「ねぇ、けーすけ」
一度は言ってみたかった。
年下だから、呼び捨てなんて出来ない。
先輩の名前を愛おしそうに呼ぶ美咲さんが羨ましかった。
あたしが、それを口にした時、先輩の目が少し開いた。
…まさか、聞かれちゃったかな?
だけど、先輩は寝ぼけているみたいで微かな声で何かを呟いた。
「……ん…?」
その声はあたしの耳には届かなかったけど、先輩がむくっと起きてあたしの首をグイっと引き寄せた。
その瞬間はきっと一瞬だったのかもしれない。
あたしにはとてもゆっくりとして見えて、世界の1秒がとても長い瞬間だったと思う。
先輩の顔が近くにあって、
あたしの唇には温もりがあって…。
今、あたしの身に何が起こってるの…?