君の隣で夢みた未来
電車が来るまで、あと15分…。


あたしは小さく咳払いをした後に深呼吸をした。


きっと鼻も詰まってしまっている。


だけど、そんなの関係ない。


あたしは携帯を取り出して、ある携帯の番号を画面に表示させる。



―～♪


呼び出し音は洋楽のバラード。


その人の雰囲気にピッタリだと思った。


暫く、その曲があたしの鼓膜を刺激した後に、柔らかく清らかな声が聞こえた。



『もしもし…？』



電話越しに聞くその人の声は初めてだったけど、なんだか安心する声だった。



『もっしもーし？』



あたしがなかなか喋り出さないせいか、その人は何度か応答を促してきた。


あたしが話し出そうとした時に、その人はあたしの名前を呼んだ。



『…実子？』


「…美咲さん…」


『どうした？なんかあった？』


「今、少し平気ですか？」



あたしがそう言うと、美咲さんは電話口で小さく「ふっ」と笑い『大丈夫だよ』と言ってくれた。


声だけなのに、なんだか柔らかい手のひらで頭を優しく撫でてくれているような錯覚に陥った。



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