君の隣で夢みた未来
どうしてだろう。


何故だか分らなかった。



俺、どうして彼女が消えてしまうと思ったのか…。


今、腕の中に居るのは涙に濡れた彼女なのに。


なのに、ちらちらとするんだ。


俺の頭の端っこに苦しそうに笑う、あの子が。



「…けーすけ、苦しいよ…」



彼女の言葉でハッと我に返った。


俺は小さな声で「ごめん」といい体を離した。


彼女の頬は乾き、伏し目がちな表情で彼女は煙草を咥え火をつけた。


視線も合わせず彼女は海に向かって自分に言い聞かせるのか、それとも俺に伝えているのかわからないトーンで呟いた。



「居なくならないよ。私は」



その言葉を包み込むように波の音が優しく覆いかぶさる。



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