君の隣で夢みた未来
地味な顔。


唯一の救いは、ニキビが出来にくい肌質。


それくらいかな。


目だって大きくないし、申し訳程度の奥二重。


これがパッチリしてたら少しは変われていたのだろうか?


性格だってもう少し可愛げがあったのかな?



そんなことを考えていた時、また携帯が鳴る。


今度は電話の着信音。


画面には先輩の名前。



あたしはドキドキを勘付かれないように小さく咳払いをして電話に出た。



「もしもし…どうしたんですか?」


『来れるもんならって言われたから来た!』


「…え?」



あたしは窓の外を見たら自転車に跨った先輩を見つけた。


先輩も視線を上げてニッと歯を見せて無邪気に笑っていた。



『ちびちゃん、あんなこと言われたら俺ムキになっちゃうからさ』



そう笑って言う先輩。


あたしは何も言わず携帯を閉じて外へ出た。



「先輩…」


「髪、茶っこくなってる!」



先輩はあたしのドキドキなんかお構いなしにあたしの色の変わった髪をわしゃわしゃと撫でてきた。


頬が熱くなるのがわかった。


きっと、あたし真っ赤だ。



「ちょっと散歩しない?」



先輩の柔らかい笑顔に思わずこくりと頷きそうになった。


だけど、我に返って自分の服装に驚いた。


完全に部屋着だった。


グレーのタンクトップに中学時代のジャージ…。


最悪だ。



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