君の隣で夢みた未来
「さぁ、乗りな!」


先輩は自転車に跨りながらあたしに後ろに乗れと言わんばかりの合図をする。


それがなんだか可笑しくて思わず声を出して笑ってしまった。



「乗っちゃったらお散歩じゃなくなっちゃいますね」


「じゃあ、ドライブに変更だな」


「ですね」



あたしはそう言って先輩の肩を借りて、自転車の後輪につけられたでっぱりに両足を乗っけた。


軽快に漕ぐ先輩。


自転車の後ろに立つあたしの視界はいつもとは少し違っていて、前から来る風もとても気持ちがよかった。


何より、今、先輩と一緒に居られることが心から嬉しかった。



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