君の隣で夢みた未来
先輩は、いつか一緒に帰った時みたいに空を見上げる。


大きく深呼吸をして、こう言った。



「笑うよ。笑うだけじゃなくって泣いたり怒ったりもする」



美咲さんの事を思い描いたのか、太陽が先輩を照らしてるせいか分らないけど、とてもとても愛しそうで優しい顔をしていた。


先輩は美咲さんにそんな風に愛しい視線を送っているの?


その視線はあたしには向けてくれないんですか?




「…また、そんな顔する。だから言ったじゃん。‘聞きたいの?’って」


「聞きたかったんだもん。でも、今、一緒に居るのはあたしです」


「そうだよ?」


「…先輩の事を、もっと知り…」



あたしの言葉を遮るかのように先輩が「後ろ、乗りな。行くよ」と言っていつの間にか見つけていた自転車に跨っていた。



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