君の隣で夢みた未来
最後の小節を弾いた時、私はいつもこの曲を弾き終わると、白と黒の鍵盤を見つめる。


なんだか、悲しくなる。


この曲を弾くと。


一人の時は絶対に弾かない。


孤独感をずっと引きずってしまいそうで…



「つんちゃん、部活終わったら電話して」



圭介の声で私はそれを払拭できた気がした。


私はこくりと頷き、彼は音楽室からでていった。


小さく微笑んで、彼は出て行った。



私は、気分を変えるように自分の好きな曲を弾いた。


大好きな綺麗な曲。


『主よ人の望みの喜びよ』


圭介が拭いきれなかった孤独感を、これを弾くことでなかった事に出来る。


私にとって心をリセットできる曲。


美しすぎる旋律が心の黒いものを洗い流している気がした。


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