君の隣で夢みた未来
ひょろっとしていて、綺麗な顔をしていて…


なんというかとても中性的な男の子だった。


お互い名前も知らなかったけど、廊下ですれ違った時に小さく会釈をくれたのだ。


日を重ねる毎に、会釈だけだったのが笑顔がついてきたり、声を掛け合ったり。


気付けば私は彼の事を「圭介」と呼ぶようになっていた。


圭介は私を「美咲さん」と呼んでいた。



制服が夏服に変わった頃、圭介は3年生の女子の間でちょっとした有名人になっていた。


『可愛い顔の1年生』


そんな事を言われていた。



ある日、保健室にすら行くのが億劫だった私は人通りの少ない渡り廊下で授業をサボっていた。


その時、スカートのポケットに入っていた携帯が震えていた。



【送信者:K】



圭介からメールだった。



【おねーさん、サボりですか?笑】



そんなメールだった。


どうして知ってるんだろう?


どこかで見てるの?


私は辺りをキョロキョロと見渡した。


…誰もいない。


渡り廊下の壁に背中をつけて空を見上げた時、校舎の窓から一つ顔が見えた。


圭介だった。


盲点だった。


彼の教室から、もっと言うと彼の席からだけ見えるようだ。


思わず笑ってしまった。



【何見てるのよ。スケベ笑 授業に集中しろ!!1年生!】



私はそう返信をして、1分もしないうちに返事がきた。



【説得力ない!笑】



サボってる私が言うんだもん。


そりゃそうか。







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